
廃墟 × 未来 × 自分自身の対話というテーマで制作された本作は、廃墟を使ったコンペ作品の一環として、廃墟を舞台に撮影した映像作品です。私は主演として出演すると同時に、カメラ構図の提案や演出の方向性にも深く関わりました。
この作品では、「廃墟」というロケーションが持つ退廃的で静かな空気感と、未来の自分と出会うという非現実的な設定をどう調和させるかが大きなテーマでした。そのため、映像全体を通して「まるでフィルムカメラで撮影したかのような質感と色味」を意識し、どこか懐かしく、それでいて幻想的な世界観を目指しました。
演技面では、一人二役で現在の自分と未来の自分を演じ分けるという難しさがありました。それぞれのキャラクターに対して、表情の細かさや声のトーン、間の取り方に違いをつけることで、同一人物でありながら異なる時間を生きているという感覚を表現しようと試みました。
本作を通して、映像が持つ空気感や世界観のつくり方、そして**「演技」という手段で感情や時間の流れを伝えることの奥深さ**を改めて実感しました。また、ロケーションの力を最大限に活かす演出の工夫や、限られた時間と環境の中で自分の表現を形にする難しさも、大きな学びとなりました。




企画:ceed
監督・脚本・編集:伊藤蒼一郎
主演:勝井翔英
撮影:吉田拓矢
撮影補助:熊川偉斗、竹内蓮